Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》07/11/26


岩村原太の「万国文化中心報告」vol.218

今年の鼓童村●2007年12月公演準備

 4年目になります。毎年この時期に訪れる鼓童村、この秋、佐渡・小木の林は今迄で初めての華やかな紅葉です。見事に様々の木々が思い々々に腕を広げ、残照を受けとめている山の気配が、豊かな実りを思わせ季節の充実を感じさせます。

 今年は演出担当者が変わり、昨年までと一味違う、例えて言えばソリッドなコンクリート建築のような、スタイルを追い求めるのではないがポリシーは表現したい、きゅっと詰まった青りんご的果実かナッツ類を、収穫しようとしている気がします。

 バナナやレモン、スターフルーツのように黄色い、甘く柔らかくジューシーで透き通ったコンサートを一緒に作ってきたグループが、これほどに大きく変容するとは、なかなかの驚きです。12月公演の枠組みは野心的で面白いと感じます。

 12月公演、これまでも新宿のシアターアプルなどを会場に続けられてきた歳末企画なので、一年を総集して次年に向けて、旅立ちの願いを込めたプログラムなのだろうと想像しますが、今年はさらに祈りのような、言葉に出来ない何か、静かなものが込められているようです。自分的には「宇宙へ」というテーマを見つけました。

 佐渡の自然、自分に見えるのは夏のフェスティバル期間中とこの季節の陽の光・月の輝きだけですが、特に穏やかな晩秋の夜、人工光源の殆んどない鼓童村から見上げる空には、星が一面に広がっています。滞在中には鼓童村周辺を散策してデザインのアイディアを探しますが、今年、この星空を眺めねばと強く思います。

 私たちはここにいる、私たちの音はここにある。自身の姿を見、自分たちの像を想う。例えて言えば劇場は宇宙のようなもので、舞台は地球、そしてさらに言えば佐渡の地面です。宇宙の星々から佐渡の光をとらえることは出来るのだろうか。佐渡にこだわらないまでも、この若者たちの輝きは宇宙に届くのだろうか。

 人々の希望を輝きと見なすのならば、その輝きを鈍らせてはいけないと信じます。祈りの形はそれぞれでも、輝きの強さに違いはない筈です。その強さを失いたくない。彼らとの作業の期間、段々にですが、こうしたことを考えるようになりました。

 演出とも、演奏とも、全く関わりのない自分勝手な思い入れなので、鼓童にとってはご迷惑かも分かりません。照明家的立場から何かをプレゼントできるとすれば、それは、コンサートのためにとりまとめた素敵なデザイン・コンセプトであるべき。

 しかし、そんな理性の働きを吹っ飛ばすほどの勢いで、がむしゃらに進んで行く彼らを見ていると、少しは、こちらの仕事にも熱い情熱を帯びさせたい。そんな感傷に浸った数日間を過ごすことになりそうです。

(2007/11/26)


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