ギャルリーMMG「ミッシェル・バルボー展 −画家の本・絵画−」

雨の日が続いています。でかけるのがすこし億劫ですが、すてきな香りの紅茶を丁寧にいれて、ゆっくり音楽を聴きながら、気になっていた本を読んだりするのもなかなか幸せな気分です。

ちょうど、飯倉の交差点の近くにあるギャルリーMMGから「ミッシェル・バルボー展」の案内が来ました。作家のオリジナルのリトだという凝った案内状には、「画家の本・絵画 −新しい本の空間へ−」と書かれています。はじめて聞いた言葉ですが、「画家の本」="Livre d'Artiste(リーブル・ダルチスト)"というのは、画家と詩人や小説家とが協力して作り出す「本」という立体的なオブジェなのだとか。今、フランスで多くのアーチストが取り組んでいる実験的な創造領域と聞くと、これはちょっと面白そう。というわけで今週は飯倉へ。

12種類の「本」が並んでいます。10センチ四方くらいの折り畳みの構造で、パノラミックに展開された形で展示されていました。壁にはデッサン、リト、木版など。残念ながらフランソワ・シャブランとかマックス・ジャコブなど、ミッシェル・バルボーの選んだテクストの詩人のほとんどを私は知らないのですが、蕪村の俳句のフランス語訳の「本」もありました。一ページに一句、蕪村のことばの世界と美しい色彩の世界がつくりだすかたち。俳句の英訳というのは目にしたことがありますが、フランス語訳を読んだ(見た?)のははじめて。

バルボーの作品は、純粋な抽象よりも、キリストが十字架にかけられるまでの情景を単純な線で表現して一冊の本に仕上げたものや、デフォルメした楽器を並べて音の流れを連想させるものなどが面白く感じました。動物や魚を描いた「本」は、難しいことを考えずに楽しめる上質な絵本といった趣です。

画家と詩人の幸せな結び付きが生み出した、美しい「本」。

大好きな詩人のひとり、谷川俊太郎さんの著作にもすてきな絵本がたくさんあります。たとえば「クレーの絵本」は、詩人が「クレーの絵にうながされるように」書いたという詩が集められているし、「えをかく」という絵本は、もともと詩人が書いた詩に長新太さんが絵をつけたもの。その絵本は、「まずはじめに じめんをかく」で始まり、そら、おひさま、ほし、つき、うみ、プランクトン、さかな、どうぶつ・・・そして、こども、いえ、とけい、しにかけたおとこ、ち、なみだ、しわくちゃのおばあさん、おまつり・・・の絵が描かれ、最後は「そして もういちまい しろいかみをめのまえにおく  まずはじめに じめんをかく」で終っています。

画家が白い紙を前にして世界を生みだそうとする試みも、詩人がことばを紡いでひとつの世界をつくりだす営みも、根の部分は同じで、たまたま結実したものが違うかたちをしている、ということかなと感じます。

さて、フランスのちょっと小粋な展覧会を見た後は、おしゃれな街をぶらぶらしてみたくなります。飯倉の交差点近くにはロシア大使館やノアビル、アントニン・レーモンドの設計した教会などもあって、おとなっぽい雰囲気。"LE GRAND BLEU"というフランスの映画と同じ名前の素敵なカフェを発見。店内はアフリカの小物が置かれ、真っ白なエプロンを付けたギャルソンも陽気です。隣のショップには洒落たアクセサリーや服が並んでいて、ガラスケースの中のヴィンテージ・ウォッチにはためいき!

ギャルリーMMG ミッシェル・バルボー展は7月9日まで開催中です。


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