東京オペラシティに今年の9月9日、本格的なアートギャラリーがオープン予定なのをご存知でしょうか。
96年の秋から始まったその Preview シリーズの最終回が今回の展覧会です。
難波田展示室はオープンの準備が進むギャラリーの脇にあって、見に来る人達をひっそりと迎えてくれます。受付もパネルで隠れるように配置され、その日の午後、展示室の空気を独り占めにする幸せを手に入れることができました。
難波田龍起は1905年生まれ、たしか97年に亡くなった画家です。日本の抽象画家の中で私が一番好きな作家で、94年に世田谷美術館で大規模な個展が開かれたのが記憶に新しいところです。
彼の描く抽象画に惹かれるのは、「詩的である」からの一語につきます。
清澄という言葉がぴったりの色彩、手を触れて見たくなる画面の質感、一枚の絵が 一遍の詩そのもののようにこころに響いてきます。
年代によってそれぞれ特色があるようですが、今回の展覧会は紙のうえの作品ということで、油彩も布ではなく蝋引きの紙に描かれたもの、それから、水彩・版画はもちろんのこと、装丁をした書籍も多数展示されています。
和紙に描かれた大作もあり、その存在感に圧倒されますが、今回は「不思議な園」というタイトルの晩年の小品を前に、立ち去り難い感動を覚えました。
これは天上の楽園なのだろうか、それとも肉体を離れた魂の遊ぶ夢の世界なのか、その絵を前に立ち尽くすだけ。答えなどどこにもないのでしょう。
5年前の個展のカタログをひもといていたら、彼のこんな言葉(詩)に出会いました。
展示室を後にして地下鉄のホームで電車を待つあいだ味わった心地好い酩酊は真昼のビールのせいだけではないみたい。こころが広い世界で遊んでいたから、でしょう。
蛇足ですが東京オペラシティー アートギャラリーのオープニングは
「Releasing Senses - 感覚の解放展」 9/9〜11/21。
「Sumitani World」の扉へ
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