Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》trio the surprise!

vol.88

ライブレポート

2002年4月3日
横浜・関内「ストーミー・マンデー」

trio the surprise!

ギター:三好功郎
ベース:バカボン鈴木
ドラム:鶴谷智生

エレキギターとエレキベースにドラム。ドラムはいつもに比べて、「タイコ」の数がずいぶん少ない。演奏前、数で判断して「きょうは、しっとり系?」。フォービートのスタンダードなピアノトリオだったら、ちょうどいいようなドラムセット。10弦のスティックベースという楽器の繊細な音との組み合わせが楽しみだ。

始まってみれば、しっとりどころか、スコールだ。賑やかとかウルサイではない。ジョン・スコフィールドやジャコ・パトリアスなどのカバー1に対してオリジナルが2くらいのライブ。ジョン・スコフィールドの名前に、自分の持ってるアルバムを思い浮かべてみても、その乾燥して軽いギターの音のかけらも感じないような密度がある。エッジの効いた鋭さに、濃い緑とたっぷりの湿度のあるアジアの夏のような心地よいグルーブが加わる。

曲の合間、MCで、まだマイクを置いていないのに、バカボン鈴木のベースやスティックが鳴り出す。話している間の練習のように自然に次の曲が始まっている。緩い雰囲気から演奏へスライドする瞬間に、楽器がミュージシャンを動かしているような印象がある。その指や腕の動きをコントロールしているのは、楽器の歌いたい気持ちが溢れ出たものかもしれない。

だから、それぞれの楽器の役割も決まりきったものではない。柔軟でみっちりと濃厚なベースは、メロディーラインとベースラインの間を自由自在にステップを踏む。エレキギターは脈を打ち、鼓動する。骨太な一面は、アコースティックギターよりも自然の身体に響いてくる。そうかと思えば、夜に強さを増す花の香りのような艶っぽいドラム。いずれにしても、無意味な味付けのないストレートな強さの応酬で、曲のどこを切り取っても、それぞれの音はクリアに立ち上ってくる。

トリオというフォーマットは、ミュージシャンの比重が等分である最大の人数で、また最小の素数でもあるのだと思う。小さなタツマキが楽器から飛び出してくるのが見えるようだ。個性的でそれぞれが強い螺旋が、ぶつかり反発したら、ライブはめちゃくちゃになってしまうだろう。でも、このトリオでは、それは引き合うように集まり、ひとつに綯われて、容易には解けることのない強大なうねりになる。

2002年4月3日


WADA Map」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室