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vol.58

京都レポート 第三弾

「京都旅行三:法然院」

2疎水沿いの哲学の径。春は桜が疎水の上にトンネルを作り、秋は紅葉の名所を結び、にぎわう道ですが、なんにもない季節は、とても空いていて、近所の猫たちも安心して昼寝中。哲学の径の側にある「法然院」を訪ねました。坂道を登り、参道に入るとすっかり「山」という感じ。運動不足の身にはそこを歩くだけで汗ばんでしまう。ふぅと一息ついて見上げると、茅葺きの山門のまわりをまだ青々とした楓が囲み、それだけで絵になる風情。

山門をくぐり、まず目に入るのは、参道の左右にある盛り砂。低い四角錐の上面に波紋、季節の花びら、銀杏の葉などを砂で描いたもの。水を現すそこを通ることで、身を浄めるという意味があるそうです。白い砂の上に散り紅葉、落ち椿。そしてうっすらと雪化粧。いつ訪れてもアーティスティックな構図が待っています。私達が訪ねた日は、盛り砂が製作中というとき。大体の形に作られた砂の上を木片を使って、平らに整え、波紋を描き、角をぴっちりと決め、という作業の一部を見ることができました。シーズンオフに感謝です。

「法然院」はその名が現す通り、法然上人が開き、弟子が上人を偲んで作られたお寺です。境内の拝観が自由ということもあり、京都にたくさんある寺院の中で、ひときわ開放的である場所です。緑が滴るような境内の庭木の手入れをされている人の姿も多くありました。おそらく檀家のかたなのでしょう。「法然院」はアートスペースとしても使われています。かつては浴室であったというところを講堂として作り替え、絵画の展示や公演に。9月の末は仏画のギャラリーになっていました。

境内にいくつかある水を湛えた手水鉢には、椿の葉が添えられていて、水が滴るのを導いています。その周りには切り花が浮かべてあります。苔や樹木の濃い緑と石、本堂や本坊の時代を経た外壁の黒に、赤い花の色が映えます。

鳥の声、虫の音が溢れるような境内の、奥まったところに本堂があります。御本尊の周りには本物の花で「散華」が行われたあとが、開かれた扉から覗き見ることができます。ぴかぴかに磨かれた床に置かれた花がなんとも美しい。ほんの少しの花の色は、不謹慎ながら艶っぽさを感じざるをえません。「陰影礼讃」の著者谷崎潤一郎が「法然院」にお墓をつくったのも頷けます。普段は中に入ることはできませんが、季節によって本堂の中も拝観することができます。

何にもしないで、そこにいさせてくれる居心地のいいお寺です。「法然院」では、講堂を開放しているだけでなく、セミナーやミニコンサートが行われています。訪ねた当日の夜、本坊でチェロのコンサートが行われるとのこと!友人とアイ・コンタクトで聴きに戻ってくることを決め、「法然院」を一旦後にしました。コンサートの時間まで3時間ほど、銀閣寺ちかくを散策。


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