埼玉県・与野市 彩の国さいたま芸術劇場・小ホール
唄う「市村座」
1999年11月10日〜1999年11月14日
劇団四季などで数々のミュージカルに出演されている市村正親さんの公演。
市村正親さんといえば、ミュージカル。ですが、この公演はミュージカルではなく、ミュージカル畑の第一人者 市村正親さんの「That's entertainment show !」。
公演のチラシは歌舞伎カラーの赤、黒、緑、の縦じま。これは和風に挑戦の市村さんが見られそう。会場に置かれたパンフレットにも着物姿に末広を持った姿の写真があります。
舞台の上のほうには「市村」「正親」などと書かれた提灯。
ミラーボールが眩しく輝く中、歌いながら登場する市村さん。いきなりミュージカル調、歌謡ショー的な登場でした。客席のファンと握手を交わしながら、ステージに上がり、「ようこそ、市村座へ♪」という歌が続きます。
一旦引っ込んで、今度は着物で登場です。舞台に正座して「口上」が始まります。「市村座」の座員は彼一人、講談、ダンス、シャンソン、などなど盛り沢山の内容で楽しませてくれるらしい。
演奏は、ピアノ、ヴァイオリン、ドラム、ベースの生バンド「上柴はじめカルテット」。
まずは講談「噫、無情-ああ、無情-」。「レ・ミゼラブル」を講談風にアレンジしての出し物。かつては新派や新国劇などでも取り上げられた題材だそうです。そしてよく知られたお話なので、講談にしても無理がない。短時間の構成で、さらっと終わってしまいました。講談というよりは落語に近い?でも、舞台上の照明が雰囲気を盛り上げ、カルテットの演奏も迫力満点、雰囲気満点で市村さんを盛り立てる。
続いて「当世男衆振付花彩画-とうせいおとこしゅふりつけはなのえすがた-」という出し物。市村さんが今までに演じてきたミュージカルのナンバーをほんの触りだけなのだけれど、おしゃべりを交えながら披露してくれる。白いスニーカーで「ウエスト・サイド・ストーリー」の印象的なプロローグのダンスを踊り、銀のハイヒールで「ラ・カージュ」を。合間に「王様と私」「屋根の上のバイオリン弾き」のちょっとした振りなどを客席も座ったまま参加して、お家へのお土産として教わりました。さすがの市村さんも、激しい踊りでは触りだけとはいえ、息が上がって苦しそうで、おしゃべりも途切れ途切れになってしまう。市村さんの最盛期はどんなダンスを見せてくれたのだろう。
バンドが芸達者ぶりがここでも素晴らしく、市村さんとの息もぴったり。
このあとは、「艶姿緋亜浮仏蘭西鑑」でシャンソンのエディット・ピアフの生涯を彼女になりきってシャンソンと語りで見せてくれたり、三味線を持って、男女二役、18歳未満お断りという都々逸を聞かせてくれたり。
圧巻が浪曲風「俵星玄藩」(忠臣蔵のお話)。とても楽しそうに歌い、踊る市村さんに「この人は、もともと浪花節な人なのかしら?」と思ってしまう。それまでの出し物の中で一番いきいきと楽しそうでした。
「劇団四季」のミュージカルを見ていない私には、往時の市村さんがどれほど素敵な舞台を見せてくれたのか知る由もありません。それでも市村さんにはどうしても四季やミュージカルというイメージが貼り付いていて、ご本人もそれを払拭したいのだろうけど、まずは、そのイメージを利用して幅を広げていくしかないのでしょう。この「市村座」は、日本的なものをこれから取り入れたりと、まだまだ発展途上でありつづける市村正親さんの所信表明なのでしょうね。
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