Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》Izumi Novenber 2000
Vol.64
11月11日
東京建物八重洲ホール
ピアノ:和泉宏隆
エレクトリックベース:須藤満
パーカッション:山本恭久
先月のマンスリーライブから和泉さんのピアノが変わったように感じる。以前は、華やかにデコレーションされた花束だとすれば、今は立花のよう。景色が見え、背景が見える。音の美しさは変わっていないのだが、シンプルであり存在感が増したように思う。作意とあるがままの狭間の心地よい緊張感。ピアノのボディの艶のある黒のようだ。
今月のゲストは、マンスリーライブでは初めてだが、ベーシストとして、和泉さんとはおそらく一緒にステージに上がった回数が一番多いと思う須藤満さん。T-SQUAREで長年ベースを担当してきた人だ。グループの中で一番若くて、須藤さんの書く曲はそれが表れたところが魅力なのだけど、和泉さんのピアノが加わると大人っぽくジャジーな雰囲気が増して、須藤さんの曲に和泉さんのピアノソロという組み合わせが結構好きだった。もともとフレンドリーな暖かな雰囲気を持っている人だが、この夜の笑顔は格別、という感じ。
和泉さんのオリジナル曲とT-SQUARE時代の須藤さんの曲が演奏される第1部。いつもながら、どの曲も「このメンバーで聴きたかった曲」に変身してしまう和泉さんのアレンジが魅力的だ。
過程の姿を何度か聴いて、早く完成品をと思っていた「Exit to Brooklyn」が須藤さんのベースをフューチャーして、という形で演奏された。もともとシーケンサーでくり返すベースラインが印象的な曲を須藤さんが引っ張っていく。楽器はエレクトリックだけれど、温かみがあり有機的な音の須藤さんのベース。山本さんのパーカッションが生き生きとした表情を曲に与えて、ちょっと意味が違うかもしれないけど、私にとってはヒーリング・ミュージックだと感じる。
T-SQUARE時代の須藤さんの曲を2曲。「QUIET MOMENT」と「Pioggia di Capri」。フルートやアコースティックギターの乾いた色調のイメージが強かった「Pioggia di Capri」(カプリ島の雨というタイトルなんだけど)が、ピアノがメロディーの中心になることでやわらかく温かい雨が降り出す。名は体を現す、なのかな。やっぱり和泉さんの曲には「瑞々しい」イメージがある。
第2部は、カバー曲で。何と言っても圧巻だったのが、ハービー・ハンコックの「Chameleon」。グルーヴの王道といった原曲は、改めて聴いてみるとサックスが入ったり、賑やかな曲なのだけど、ベースとパーカッションが中心になった和泉さんアレンジの「Chameleon」は、すごくすっきりとしてスタイリッシュ。こっちのほうが私は好きだなぁ。もちろん、ライブで、目の前でミュージシャンのキャッチボールが展開されている迫力は大きい。ループするベースラインにカメレオンの手足のように絡みつくパーカッション。時折とびだすピアノのフレーズはチャンスを窺って獲物を捉えようとするカメレオンの舌。前半は和泉さんもベースとパーカッションのゲームを楽しんでいるようで、2人に任せきりといった様子。曲の後半からは3人でぐるぐると、ハンカチ落としか椅子取りゲーム。トラだったらバターになってしまう。楽しい!曲だった。ループだから、終わらないで欲しかったんだけど。
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