Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》MIZU TO ABURA
vol.60
水と油 「見えない男」
2000年10月6日〜8日
東京・神楽坂 セッションハウス
あ、いけない。腰に手をあててスキップしてしまいそう。
地下鉄ホームの壁を蹴って、斜めに歩けると錯覚してしまいそう。サスペンス小説の殺人トリックが実話だったら。不思議なドアを見掛けたら、つい開けてしまうかも。茶色のトランクは要注意、自分が入っているかも…。
「水と油」というマイムパフォ−マンス集団の公演。マイムとかダンスは、ちょっと苦手。人間のからだって綺麗だね、凄いね。とは思うのだけど。例えば、ベジタリアンの胃が、いつの間にか、肉を受け付けなくなるように、どうしても消化不良を起こしてしまう。思えば、中学の体育の時間の「創作ダンス」が消化不良の始まりだった。だけど、信頼できる人(笑いのツボが同じ人)が薦めてくれるものは、できるだけ見てみようと思っている今日この頃。「水と油」もそのお薦めのひとつ。
セッションハウス地下スタジオ。入ってみるとステージには、2人の男が既にソファに腰掛けて読書中というスタンバイ体勢。見やすそうな高さのクッションに腰掛けると、もうひとり、ステージ中央に置かれたドアの影にいるのがわかる。照明が変わり、音楽が流れ出す。真っ赤なソファに黄色いシャツに濃いグレーのベストの男。奥の方にもブルーのシャツの男。色合いが何だかイタリアンな感じ?同じようで微妙に違う動作で読書を続ける。そしてノックの音。ドアを開けてコーヒーを持ってくる男。あ、ドアの影には二人いたんだ。ドアがクルクルと回り、コーヒーを持ってきた男が入れ替わったり。音楽のせい、色彩のせいかヨーロッパ映画のプロローグのよう。クレジットが流れる背景に、重苦しい雨の中、物語の始まりを暗示するような場面が続くような。テレビ版シャーロック・ホームズによくあったような場面。
やがて、ドアの向うにいるもう一組の存在にお互いが気付く。そして、読んでいた本の中に書いてあったことが…。モチーフになるストーリーと笑ってしまうような不条理なエピソードがページをめくる度に飛び出す絵本のように現れる。
暗転や早変わり、小道具を駆使して、3人の男性と女性1人の4人組が目まぐるしく場面と役割を変え、重力さえ変えて動き回る。何をやっているのか、すぐわかる。鍛え上げた肉体を誇示するわけでもなく、そういうコスチュームで現れるのでもない。ごく普通のワンピースやブーツ、ダークスーツとコートで、難なく大技で一本!あちこちに小技も効いている。めちゃくちゃ笑って、ちょっとサイコな気分も味わう。大汗かいているけど、努力だ!根性だ!という部分や精神性なんてものを少しも見せずに、サラッとスタイリッシュに決める。彼等の表現したいことを解釈しようとか、分析してみようと思うのはちょっと失礼かな、と思う。そんなことは受け付けないとマイムで払われてしまうような気がする。楽しませてもらった。いい時間だった。と大きく気持ちよく拍手ができればそれでいいと思う。もちろん、次の公演にも行く!と決心。(予定は出てませんでしたが。)
2000年10月7日
神楽坂・セッションハウスにて。
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