美術展

19世紀の夢と現実-オルセー美術館展

東京・上野 国立西洋美術館

1999年9月14日〜1999年12月12日

月曜日休館(ただし10月11日は開館、翌12日休館)

開館時間:午前9時30分〜午後5時(金曜日は午後8時まで)
     入場は閉館30分前まで。

入館料:大人1300円

詳しいデータはhttp://www.nikkei.co.jp/orsay/

19世紀美術の殿堂フランス・パリのオルセー美術館展に行ってきました。

初日の開館時間には、200人の列ができていたとの情報に混雑を予想して出掛けたのだけど、拍子抜けするほど人が少なくゆったりと観ることができました。

ただ、エントランスのロープや尋常ではない傘立ての数から、昼間の混雑ぶりは想像できます。

開催第1週目の金曜日の夜。このタイミングを逃しては、と雨の中出掛けたのは正解だったようです。

19世紀の絵画。これは私の不得意分野の代表格。ということで、今回は音声ガイドシステム(500円)を迷わずレンタル。目印のついた作品の番号を打ち込むとその作品の解説が聞けるというもの。大きな電卓のような本体とイヤホンを首に提げてもらうとかなり間抜けな姿になります。その解説の内容はというと、ここで耳にしなければわからない構図の読み方、作品の背景や他の作品との関連性など。空いていたからよかったけれど、ひとつの作品の解説の時間が長めなので、混んでいる時ではすべてを聞いた上で作品をあらためて鑑賞するというのは難しいでしょう。全出品作(150点ほど?)の約4分の1に解説があります。

「人間と物語」という風に「人間と…」とセクションに分けられ、さらに「神話」「宗教」…と分けられています。名前を知ってる画家、画集で観たあのタッチを間近に観ることができるのは、さすがに感動的。やっぱり後世に名を残すだけの力強さを感じます。

作品の前にロープが張られることもない展示に驚きと喜び。近付いて観たり離れてみたりして、ひとつひとつの作品を十分に味わえます。細かくセクションが分けられているので、飽きることなく19世紀の美術を辿ることができます。

この時代の画家にとって、表現はメッセージであることは稀で、躍起になって追求しているのは新しい技法や新しい表現方法、色使い。数点出品されている素描も何やら迫力不足。裏返せば、ひとつのテーマを何人かの画家が自分のタッチでどう表現するか、競いあい切磋琢磨したことが19世紀の絵画が人々を惹き付ける魅力なのかも知れない。公式を押し付けられた時代が終わり、自分で探っていく時代が19世紀だったのでしょうか。

そして、ジャポニズム。浮世絵をそのまま油彩で描いたようなあからさまなものはないけれど、他の絵画とは、すこし違う構図やデザインに気付くものもあります。遠近法の使い方、バックの表現、それが100年前のヨーロッパで効果的に使われているのに出会うのは嬉しいもの。

出品されているのは、圧倒的に絵画が多いのだけど、それだけでなく、写真、彫像、ガラス製品、設計のための鳥瞰図などもあります。

壁紙や髪飾りのデザイン画、エミール・ガレのランプ、そういうものについつい目が行ってしまう私。これらの点数は少ないけれど、内容は充実していました。

音声ガイド以外に個々の作品の解説はないので、作品の場面や意図が分かりにくいのが残念です。宗教的なバックボーンがないことが、ヨーロッパの美術をただきれいなものとしてとらえてしまいがちになる原因であると思うのですが、生で観ることに集中したものを図版で確認したくはないしなーと、日頃の勉強不足を悔やんでしまいました。


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無断転載禁止 掲載:アーク編集室