「パリ・モードの舞台裏」

1999年4月30日〜6月6日

Bunkamuraザ・ミュージアム

現在のパリ・モードを支える職人達の技に注目した展覧会。

洋服大好き、おしゃれ大好きという人はもちろん、ブランドなんてという人にもぜひ見てもらいたい。

会場に入ると、工房を模したブースが並んでいる。刺繍工房・造花工房・レース工房・プリーツ工房・・・・。シャネルもゴルチエの服も、支えているのは町の小さな工房。洋服についている小さな様々な飾りの一つ一つが、専門の工房で作られていることに驚き、長い間その工房が一つの仕事だけで成り立っていることにも驚きます。もちろん手に取ることはできませんが、こまやかな細工のビーズ刺繍やレースをまじかに見ることができます。そこに飾られているパーツには、手仕事をした針あとなどまったく見えないほど完璧な仕上がり。器用さでは日本人は世界一。そんな風に思って見ていると裏切られます。一流の職人と呼ばれる人たちに人種はないのでしょう。

工房街の終わりには、次世代を担う若いデザイナー達の小さな作品を集めたブースがあります。アクセサリーや靴や、バッグ。オブジェとしてみるには面白いけど、実際身につけるとしたら相当な我慢が必要なものが多いのです。こんなのを作ったら面白い。おそらく頭で考えたものを形にしただけなのでしょう。ちょっと困っちゃうな。

そう思いながら、矢印に従って進んでいくと一転、たくさんの観客が見守る花道をモデル達がひらひらと歩いていくパリ・コレの会場。その会場を再現したようなレイアウトですが、モデルと観客の位置が逆になっています。

両側にドレスが並び、展覧会の観客は、それを見ながら進みます。展示されているのは、97年〜98年のコレクションに出品されたドレス100着以上。いままで見てきた14の工房の総合芸術がここに並んでいます。素材と色とをグラデーションにして、ぎっしりと。デザイナーというのは、新しいスタイルを提案するだけでなく、たくさんのパーツに分かれた手仕事を集めて完成品にするプランナーやプロデューサーとしての役割も大きいのでしょう。

手を伸ばせば触れることができるほど近くに、一生着ることのないドレスが並んでいますが、見るだけでも深い感動を覚えます。デザイナーのアイデアとたくさんの手仕事。それが1着のドレスに凝縮されているのです。デザイナーの作意も手仕事の針あとも感じさせない、夢のような ”なにか”。

服飾というのは人間共通の文化なのだと思います。普段自分が着ている”テキトー”な服がその文化に対して申し訳ないような気がしてくるのです。

場所柄、帰りにショッピングをいう人もいるでしょうが、気をつけたほうがいいですよ。


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