Report/Scandinavian Connection-2
前回、ご紹介した森泰人さんについてのレポートに続き、今回は『森泰人 スカンジナビアン/ジャパン・コネクション』について。
11月〜12月の日本公演メンバーのプロフィールもご紹介します。
『森泰人 スカンジナビアン/ジャパン・コネクション』は、日本と北欧を結ぶ、音楽による文化交流を草の根運動的に展開しようという森泰人さんの活動です。
この活動は、日本のミュージシャンを北欧に、北欧のミュージシャンを日本に、とコンサートを通じて人的交流の掛け橋をかけようと森さんが主宰しています。
北欧の音楽の情報は、日本にはあまり入ってきませんが、その音楽性の豊かさと水準の高さは言うまでもないでしょう。
ポップスならば、「アバ」は、最近リメイクのグループが脚光を浴びたりして、思い出されるかたも多いと思います。80年代には、ヘヴィ・メタルやハードロックのグループがたくさん登場してきました。それらのグループの特色は、ハーモニーの豊かさと美しさ。ヘヴィ・メタルでもロマンチシズムがあり、クラシックのストリングスを思わせるハーモニーでした。
さて、ジャズ。
ジャズはアメリカで生まれた音楽です。始まりは楽しい偶然ばかりではなく、哀しい歴史もその背景に持っています。
ジャズが魅力的な音楽として、今もなお世界中で進化しているのはたくさんの文化と出会い、融合してきたからでしょう。
1930年代、スウィング・ジャズの台頭により、南部の黒人音楽というジャンルから、人種や地域を超えた新しい音楽に発展しました。1940年代には、ビ・バップというジャズのスタイルが生まれました。
ビ・バップというのは聴きやすくて乗りやすくて、スタイリッシュ、ジャズの中でも特に楽しいスタイルです。1950年代には、ハード・バップ。リズム・セクションが主張しさらにパワフルに。
40年代から50年代の熱いジャズの黄金期、アメリカのビッグ・ネーム達が北欧で演奏することが多かった時期がありました。外国の音楽はレコードかラジオで聴くもの、生演奏なんて聴く機会がほとんどなかったころ、スウェーデンには、アメリカのジャズ・ミュージシャンから直々にビ・バップ、ハード・バップが伝えられたのです。1940年代、生のジャズに触れたスウェーデンのミュージシャンはその魅力のとりこになったのでしょう。
北欧、スカンジナビアというとどんなことが思い浮かびますか?フィヨルド、森と湖と、白夜と、サンタクロースの故郷…とにかく美しいところ!聴こえてくるのは「フィンランディア」でしょうか?
ジャズのイメージとスカンジナビアの国々のイメージはちょっと合わないかもしれません。
だけど、夢のように美しい風景とハーモニーにビ・バップが溶け合ったら、それはもう素敵な音楽が生まれるでしょう?それが北欧(スウェーデン)・ジャズです。
鏡のような湖面、深い森に渡る風のようなクリアな音が北欧の音楽の特徴のひとつ。ジャズにしてもアメリカの汗が飛び散るような熱さもいいけれど、針葉樹の香りに全身が包まれるような清涼感も捨てがたい。クリア=冷たさではありません。厳しい冬が長いところだから、きっと暖かさにも敏感なのでしょうね。凍るような寒さの中から、暖かな家に帰ってきたような温もりも合わせ持っています。
そんな魅力的なスウェーデン・ジャズを日本で聴かせてくれるのが『森泰人 スカンジナビアン/ジャパン・コネクション』です。
ジャズに不可欠な楽器がベース。即興の中でどんなにピアノが突っ走っても、サックスが飛んでいっても、根っこで支えているのがベース。目立つ存在ではなく、主張したり華やかな役割は少ない楽器です。だけど、ウッドベースの豊かな響きは鼓動にも似て、掌に包まれる安心感を与えてくれます。
5月のコンサートのステージ上の姿、MCと、メールでのやり取りのひとつひとつから、森さんのイメージが楽器にシンクロしてしまいます。
そして、森さんが支えているコネクションについて、主旨と目的をご自身の声でいただきました。
『森泰人スカンジナビアン/ジャパン・コネクション』
企画: 森 泰人/Mori Music KB

ジャズはもちろん、アメリカが故国ですが、現在のジャズは、クラッシック音楽と同等の芸術性と国際性を併せ持った、音楽芸術の一形態として、世界に定着しております。北欧のジャズは、世界的にみてもトップクラスの水準にあります。
日本と北欧の音楽を通じての文化交流を目的とし、さらに人的交流を目指して、商業的にも紹介される機会の少ない、ジャズ、合唱音楽を中心に、その交流を一層、盛んなものにする事を願い、一種の「草の根運動」的にコンサート活動を展開して行こうというのが、『森泰人 スカンジナビアン/ジャパン・コネクション』です。
日本におけるジャズは、娯楽音楽、軽音楽というカテゴリーに入れられて、商業的な意味で、『アメリカ』というものを重視してしまう傾向が強い感がしますが、アメリカのジャズに飽きたジャズファンも近年、ますます多くなってきているようです。
北欧のミュージシャンを日本に、また逆に、日本人のミュージシャンを北欧に招こうとしても、北欧の、また日本の『ジャズの実力』が双方でまだまだ一般的に知られていないため、なかなか演奏の機会を作ることが難しいのが実情です。
スウェーデン産のポップミュージックが唯一の接点といっていいほど、北欧と日本の音楽の距離はまだまだ遠く離れていると痛感してしまいます。
その距離を少しでも縮めるには掛け橋が必要です。そして、どこからかでも、まず建造を始めない事には、いつまでたっても橋は掛かりません。
『森泰人 スカンジナビアン/ジャパン・コネクション』は、この掛け橋建造にいくらかでも貢献したいと願っております。
<森泰人スカンジナビアン・コネクション’99 feat. ジャネット・リンドストゥルム>
出演メンバー
Jeanette Lindstrom (ジャネット・リンドストゥルム)/本当は「o」の上に「・・」が付きます。

ヴォーカル、ピアノ、作曲家
その後、ジャズの教育で知られるスキュールプ・フォルク・ホーグスコーランに2年 間学んだ。この頃から歌手として、本格的にジャズ・ヴォーカルを始める。
その後、ルンド大学で教育学を修め、更にその後、ストックホルムの王立音楽大学 に学び1995年に卒業。
この年、自己の初CDアルバムが、『ジャズ・イ・スバリエ』(ゴールドディスク) に選ばれる。
94年に自己のクインテットを結成し、現在も活動を続ける一方、アンダーシュ・ヤーミーン(Kb)、トーマス・グスタフソン(Sax)、アウディン・クレーバー(Dr) 等と『ONCE』を結成。
在スウェーデンの米人ピアニスト、スティーブ・ドブロコフとのデュオでも知られる。
今年9月には、スウェーデンのカプリース・レーベルより、米人ピアニスト、ケニ ー・ワーナーの編曲によるスタンダード曲を、米人トランペッター、ティム・ヘーゲン率いるノルボッテン・ビッグバンド+ストリングスという編成で録音した作品が、発売される予定。
Thomas Gustafson (トーマス・グスタフソン)

テナー&ソプラノサックス、作曲家
97年1月、スウェーデン放送が、北欧のトップミュージシャンを集め、トーマスがプ ロデュースしたプログラム『Nordic Meeting』を母体とした自己のグループ『TG Evil Orchestra』の他、『Dr.Dingo』『ONCE』等、スウェーデンのトップグループの中心人物で、その他にもノールウェーを中心に北欧のエリートミュージシャン達を集めた『1300 Oslo』、シューベルトの歌曲を演奏 する『Schubert Live』等数多くのグループにも名を連ねている。
Anders Persson (アンダーシュ・パーション)

ピアノ、作編曲家、
81年〜83年頃、イェーテボリに一時在住していた、シダー・ウォルトンやマイル ス・デイビス、最近ではチック・コリアのグループで有名なサックス奏者ボブ・バ ーグのスカンディナビア・カルテットに参加。80年代半ばからは、北欧を代表する トランペット奏者アンダーシュ・ベルクランツのカルテット、スウェーデンで人気 の高いグループ、モENCOREモを初め数多くのグループやセッションに参加。80年代後 半からは、スティーナ・ノーデンスタム(日本では、ポップ系の歌手として有 名)、ニーナ・ニーベリ、マリー・ベリマン等、スウェーデンのトップ歌手達の数多くのレコーディングにも参加しており、その抜群のバッキングのセンスの良さは有名である。
特に、ビル・エバンスを彷彿とさせるリリカルで美しい一面と、ハンコックの持つ力強い一面を併せ持つ彼独特のピアノスタイルは、トム・ハロルやボブ・バーグを初めとする多くのトッププレヤー達の絶賛を得ており、彼の人気と実力は、これまでに4回もスウェーデン・ジャズディスク大賞(Jazz i Sverige)を獲得したという実績が、証明するものである。
1999年5月にトリオの第2作目のCD『DOMESTIC WAX』(Prophone)を発表しOrkester Journalen 誌,Dagens Nyheter紙, Svenska Dagbladet紙より高い評価を受けた。
Magnus Gran (マグヌス・グラーン)

ドラムス
グスターボ・バルガーリ・カルテット、マックス・シュルツ・グループ、エーバン・スベンソン・トリオ、ヨアキム・ミルダー、パレ・ダニエルソン(キース・ジャレットで有名なスウェ―デンのベース奏者)、ケニ―・ギャレット等、数多くのグループ、セッションに参加している。
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