Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》Su-ku

Vol.73
「劇団トリのマーク〈通称〉」
【迷路-スーク-を抜けて果樹園へ】

2000年12月22日〜24日
下北沢◎ザ・スズナリ

「劇団トリのマーク〈通称〉」のHP◎劇団(トリのマーク)へ
http://www.bananawani.org/mountain/oec/tori/index.html

下北沢の「ザ・スズナリ」。アングラの匂いを残す小劇場。鉄とコンクリートの古びた外階段も「トリのマーク」を観に行くと思うと、うらぶれた、ではなくてデカダンスな雰囲気。「海の家」のようなロビーも、きょうはきれいに片付いて、Tシャツ(?)がディスプレイされている。

劇場内に入ってびっくり。いつもは真っ黒・真っ暗なスズナリがサンドベージュ一色でまとめられ、明るく広々としている。舞台に対峙して配置されるべき観客席も、中央に向かい、3ケ所に配されている。そもそも「舞台」がないのだけど。

開演時刻前、砂漠のバザールの商人(=出月勝彦)が入場した観客に「ほんとに売ってるよぉ」と呼び掛けている。屋根の付いた小さな店を広げている。

劇場の中央に木で囲った「井戸」のような場所。その柵にもたれ掛かるようにして、井戸からのメッセージを受け取る少女(=中村智弓)。身を乗り出して井戸の中に手を伸ばすと小さなバッグを取り出す。商人に渡す。バッグを覗き込んで、ちょっと不満げ。そのバッグは小さな店の売り物になる。

海賊に憧れる少女(少年?=柳澤明子)など、その辺りに暮らす人が入れ替わり立ち替わりあらわれる。みんな井戸から出てくるバッグを楽しみにして、嬉しそうに受け取っていく。でも、どうやら、それをもらえるにもタイミングがあり、バッグの中身を覗くにも、決まりごとがあるらしい。決まりごとを守れないと、その中身は儚くなってしまうみたい。。。つぎにバッグを受け取れるまで、だいぶ待つようだ。

お芝居を観た後にもらうリーフレットに『モロッコのメディナと呼ばれる旧市街の真中には迷路のような市場があります。これがスークです』とある。きょうの衣装は、ワンピースのように長い上着を着ていたりして、漠然とイメージするモロッコ、北アフリカの乾いた街の様子がぴったり。

自分の意志で移動してしまう家や果樹園を追い掛けて、皆わらわらと通り過ぎたり、走り過ぎたりしていく。劇場の中のいくつもの扉をフルに使い、縦横無尽に人が流れていく。観客は、そこの空間が移動していくのをせき止めているようにただ座っている。山とか大きな岩みたいに。

乾いた街の真ん中にある井戸は、水が豊富であるよりも、小さなバッグがたまに出てくるほうが嬉しい。まるで、親鳥がちょっと外出したすきに、鳥の巣からタマゴを取り出すように、井戸の中から大事そうに取り出される小さなバッグ。 あ、クリスマス。プレゼント。井戸の中から出てくるのは、クリスマスプレゼントみたい。まわり回って、それがクリスマスイブの枕元にそっと置かれるのかも知れないなぁ。ささやかで、偶然であればあるほど、プレゼントって嬉しいかも。

2000年12月23日


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