ライブ・レポート
“TOSHIMI SESSION”
1999年10月19日
東京・吉祥寺「Star Pine's Cafe」
永井敏己さんのベースの音がどしんと響く。やっぱり、エレキベースはいいなぁ、かっこいいねぇ。あ、つい1ヶ月前にはウッドベースに酔っていたのに。この日は、なんとも美味しいことにピアノ&キーボードに和泉宏隆さん、ドラムに諸藤一平さん、サポートキーボードに林良さんというメンバー。和泉宏隆さんは言うまでもなくWADAが半追っかけ状態のピアニスト。諸藤一平さんは和泉さんのバンドのドラマーとしてデビューしたかたで、R&Bのプロデュースもされているというバークリー卒の若手ドラマーです。林さんは初めて生の演奏を聴いたのですが、和泉さんの生徒さんだそうです。
ステージは、永井さんの曲と和泉さんの曲を取り混ぜて進んでいきます。それぞれの曲をステージ上の全員が「難しい!」。だけど、見ているとメンバーがそれぞれとても気分よさそうに演奏している姿が印象的です。音符とプレーヤーのラリー。楽器とプレーヤーのパワーが押し寄せてきます。
いつもはシックな和泉さんのステージ衣装は、コックさんの白衣とエプロン。プロレベルのお料理上手の和泉さんの私物だそうです。それにしても似合い過ぎる…。
和泉さんのピアノ&キーボードがなんてアグレッシブ!ソロ・ピアノで、永遠の余韻を聴かせてくれるのも素敵ですが、キーボーディストとして、まさにプログレな演奏もいいなぁ。
ピアノトリオというスタイルでの演奏なので、ギターが入らない分ジャズの要素が強いかも。でも、フュージョンとは違うし、ロックというには厚みや深さがあって…。ピアノ、ベース、ドラムどれもが主役になったり、バッキングに回ったりと目紛しく展開していきます。どんなソロプレイが飛び出してくるか、わくわくさせながら、溢れてくる音の世界に酔わせてくれます。
ドラムやベースだって、バッキングだけではなくメロディアスに歌います。ピアノ、ベース、ドラムがユニゾンになる瞬間があったり、ベースとキーボードが会話するようにソロのフレーズを追いかけっこしたり。力強い諸藤さんのドラムがすごい。力でただ叩きまくっているのではなく、本当にリズムとメロディーが同時に生まれてくる。無機質なエレキベースの音も、弦を離れた瞬間に電気的な音ではない生き生きとした鼓動のように響いてくる。「白玉の広がりを表現するため(和泉さん言)」のサポートキーボードも、ぎっしりの音符の中、ふとした瞬間に時雨のように耳に届く音がしっとりと染みていく。サポートなどではなく、その音自身がステージを駆ける白露。濃密な collaboration と conversation 。
休憩を入れずに2時間以上のライブだったけど、少しも飽きることなくあっという間にステージの明かりが落されてしまいました。
秋というとしっとりした音楽が浮かんできます。ジャズやクラシックももちろん大好きなのだけど、実りの秋を感じさせるぎゅっとしたこんなライブも素敵でした。
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無断転載禁止 掲載:アーク編集室