Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》bamboccio

vol.80

演劇レポート

劇団《トリのマーク》(通称)
『bamboccio【バンボッチョ】』

2001年6月30日
横浜・関内@ギャルリーパリ

古い洋館が多く残る関内でも、最も古いビルの横浜三井物産ビルにあるギャラリー。天井の高いエントランスは声が大きく響きます。真っ白いギャラリーには、大時代がかった大きな金庫があります。古い映画に出てくるような、アナログで頑丈そうなハンドルの鍵がついています。壁には小さい木のフレームに入れられた絵がいくつも架けられています。ペンギンの絵が多い。可愛い♪。

上演の時季によって、晴バージョン・雨バージョン、昼バージョン・夜バージョンが用意されている《トリ》のお芝居ですが、この日の天気は降ったり止んだリの雨。窓から見えるのは、曇った街。濡れずに到着できたのはいいけど、中途半端だなぁ。もっとはっきりした天気だったら、どんなところにそれが出るのだろうと、思う。

黒い事務用腕カバーをした人(=中村智弓)が登場。舞台は郵便局のようだ。段ボールのうねうねの紙に包まれた、いろんなサイズの包みを整理していると、新たな包みが届けられる。持ってきた人(=山中正哉)曰く「僕は持ってくるだけだから」、差出人について知っている人はいないらしい。もうひとり、届けられる包みに興味津々の人(=柳澤明子)が登場。包みの中身は、壁に架かっている絵。いろんなところから、絵解きのメッセージを送っているようだ。だけど、切手が貼ってあるだけで、どんなに探しても消印がない。その絵解きがあっているのかどうか、包みが開けられると相応しい位置に架けられる。旅の様子が送られてくるのかなー。

やがて、金庫の中から凛とした美女(=丹保あずさ)、登場。金庫の扉に手をかけるポーズが決まってるけど、見た目と中身がだいぶ違うようだ。何か話し掛けられると、とんでもない顔でリアクション。金庫に棲む妖怪?この金庫が、まずこの場所にあったそうだ。それから外側を作ったそうだ。それならば妖怪がいてもいいのかなー。開け方を誰も知らない金庫は閉められることがなく、ずっと半開きのまま。

だれが?どこから?どうして?と謎がいっぱいの包み。消印があれば、手掛かりになるのに。「消印?あるじゃない」という山中正哉を追って、柳澤明子が外へ出ていく。追い付いて、話を聞いているようだけど、一足先に戻った山中正哉は、観客の前にいる。窓ガラスの向うを見ながら「人違いをしたみたいだね」。でも、彼女は正解を持って戻ってくる。本人に話を聞いたって。

窓ガラスに映った自分が、自分の目に映り、果てしなくそれが繰り返されて、いつの間にか、どれが本当の自分なのか忘れて、あちこちに自分が存在してしまうのだろうか。

切手だと思っていたラベルが消印。それに「どこから」が記されている。差出人はバンボッチョ。そういう渾名の画家がいたそうだ。「400年くらい前の人だから」その本人からではないようだけど。一人しかいないはずが、もう一人、すぐ側にいたりするこの郵便局になら、バンボッチョ本人から手紙が届くこともあるかも知れない。

いつもの《トリ》よりもシャキシャキとセリフがお話が進む。そう言えば去年の夏もそんな感じだった。蒸し暑い季節だから、そうしてるのかな。

謎は謎のまま、終わる。「ふぅーん」と思って、その後の一言を飲み込む。「まぁ、いいか」と。謎のままならば、このままの毎日が続くのだから。

壁にいくつも架けられた絵を見たい!切手のような消印の包みを見たい!拍手して、そのまま会場を出ていく人はなく、終演後、舞台はギャラリーとなります。

2001年6月30日
横浜・関内@ギャルリーパリ にて


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