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演劇?レポート

「劇団トリのマーク〈通称〉」

【とおくにいるさかなから】

2000年5月24日〜5月26日

表参道・NADiff

「劇団トリのマーク〈通称〉」のHP @劇団トリのマーク

http://www.bananawani.org/mountain/oec/tori/index.html

演劇?パフォーマンス?どっちでもなく、どちらでもあるような、楽しい遊び。

「トリのマーク〈通称〉」のやることを既存のカテゴリーに入れるのはもったいない気がする。エッシャーの騙し絵やクラインの壷を体感。

NADiffというお店は、表参道メインストリートからちょいちょいと奥に入ったところにあるアート・ショップ。写真集や画集、CD、アート・グッズが溢れた店内。カフェも併設されている。広々とは言えない空間で、何かやってることに気付かないお客さんも、「何なの?」と立ち読みしつつ横目のお客さんも、「トリのマーク」を見にきた人も、みんな一緒「出演者」になる。

指定の時間に集まった10人を1グループにして、次々と「上演」する。自分の回を待つ「観客」もNADiffのお客さんもその様子を見ている。だから、「ただ見」もできるのだけど、お楽しみは「観客」だけに与えられた特権。そのカギは、耳の横につけた「ヒレ」。「ヒレ」をつけた人だけが騙し絵の中に入っていける。

NADiffに住んでいる「さかなおとこ」(=?)は、本が好き。字が読めないのだけど、本が好き。本の匂いが好き。だから、本屋さんに住まわせてもらっているらしい。女の子(=柳澤明子)もそれを知っている。彼女に「さかなおとこ」から手紙が届く。それは、本屋さんの本に挟まれている。お店の人に気付かれないようにそれを抜き取り、テーブルに広げる。

「女の子は手紙を書きます。」とナレーター(=丹保あずさ)の説明に「かーっ!」と威嚇。「女の子は説明されるのが嫌いです」。 女の子と一緒に店内のテーブルを囲みながら、次は「さかなおとこ」について、説明される。

「さかなおとこ」も大好きな本屋さんで大好きな本を見て歩く。レジにいる店員さんも、いつ声が掛かるか気が抜けない。「お店の人とも仲良しです」なんてふられてしまうから。「さかなおとこ」はコーヒーも大好きなので、カフェのある本屋さんは、ほんとに大好きな場所なのだろう。でも、コーヒーを飲むのは嫌いだとか。カフェ・コーナーを見つめる「さかなおとこ」。目線はわからないけど、一途な様子が可愛い。そして、ぱらぱらと画集を見ているお客さんの隣に「さかなおとこ」が立ったりして。

女の子が「さかなおとこ」への手紙を出しに行くと、「観客」は「ヒレ」をつけて、案内人(=櫻井拓見)に促されて、お店の中央にあるギャラリーを通り抜ける。ギャラリーには前の回の「観客」が何かやってる最中なんだけど。

ひらがなが一文字書かれた紙片がたくさん散らばっている丸テーブル。それを囲んで自分の好きな言葉を作る。「さかなおとこ」も一緒になって紙片を集めるのだけど、無意味な言葉。「さかなおとこ」は文字の形と匂いが好きなだけ。並べると何だか楽しくなってしまうらしい。手(胸ビレ?)をばたつかせて喜んでる。自分の好きな文字をひとつ持って、ギャラリーへ入る。

波の音?風の音?が響くその中でひとりの男性(=山中正哉)が机に向かっている。「観客」が手にしている紙片を「文字をいただけますか?」と受け取ると、机にあるたくさんの文字と組み合わせて言葉を作る。それを「観客」に返して、「読んでみて下さい」。それぞれが持ってきた文字は、何だかわからないけど、声に出して読むのはお茶目な言葉になっている。「観客」が含み笑いをしていると女の子が「さかなおとこ」に手紙を出しにきた様子を、男性がギャラリーに架けられた絵を見ながら説明しはじめる。ちょうど、次の回の「観客」に「女の子は手紙を出しに行きました」とナレーターが告げた後を受けるタイミングで。

湖が見えるその家(ギャラリー)に「パレードがやってきました」。すると次の回の「観客」がギャラリーを通り抜ける!歩いている「観客」は、何でこんなとこ、通るんだろう?と怪訝な顔だけど、座っている「観客」は、「ああ、そうか!」とパレードの行進を迎える。

普通の劇場は、舞台と客席が区切られている。客席とは違う世界があること、舞台の都合で時間が行ったりきたりするのは当たり前のことになっている。その約束が理解できないと演劇の世界は、成立しない。だけど、観客が舞台の上の世界に自分から入って行くのは、許されないこと。円形劇場や、屋外での上演、花道、どんなスタイルであっても、結界の存在は絶対だと思っていた。

演じる場を、営業中のお店のワンフロアにする。お芝居の進行とともに、観客も移動する。ワンフロアという平面のなんて立体的なこと!上に向かっていたはずなのに、いつの間にか下っている騙し絵に入り込んでいる。

「さかなおとこ」と女の子、本屋さんのことは、昨年上演された「ヴァロ*木の帽子」で語られたらしい「さかなおとこ」について、何も知らない私も置き去りにされることなく、楽しめた。公演のキャパシティが小さいからこそ、知らないことが気にならない作りになっているみたい。

「さかなおとこ」は修道士のような服(スター・ウォーズっぽい)にマグロかカツオのような魚の顔。なかなか可愛いので、ぜひトリのマークのHPでチェックしてください。

http://www.bananawani.org/mountain/oec/tori/varro_big.html

<劇団トリのマーク>のトップページ@劇団トリのマーク

終演後に見ることのできるパンフレットには、「さかなおとこ」からの手紙が同封されていた。私のには「きりんがすき」

2000年5月24日
表参道・NADiffにて。

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