Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》Societe Contre L'etat

vol.34

オダブツぐるーぶ Societe Contre L'etat
会場:高知・アルテック

 高知・アルテックというスポットでライヴを楽しむのは、何年ぶりになるのだろう。昔はよく通ったもので、案内のDMなんかも届いていたものだ。ハンク・ジョーンズやモンティ・アレクサンダーの演奏もここで聴いた覚えがある。男女問わず必ず連れこって足を運んだ場所に、久しぶりに一人で足を運ぶこと自体にある種の感慨を覚えた。

 “そしえて・こんとる・れた”は、昨年末、県立美術館の音楽講座で来高していた港大尋氏がリーダーを務めるジャンルを越えた音楽を創造しているグループだということだったが、今夜の演奏を聴いた限りにおいては、若手ジャズ・グループと解しても特段の不都合はないように思う。“ちゃんぷるミュージック”というのがいかなるものか興味津々だったのだが、チラシに書き込まれた「漂うブラック・ユーモア、ファンク、ポップ、アヴァンギャルド、ブルースが高知に上陸!」というほどに強烈に刺激的ではなく、むしろ美しく達者な演奏を披露してくれたように感じた。

 いささか閑散とした会場の雰囲気がスポットでのライヴという点では致命的であったが、チューニングをしてるのだか何だか判らないままに、ふにゃあ〜っと始まった1曲目から、音は相当に美しくて、清水達生のドラムスのキレのよさが際立っていた。港大尋のMCは、音楽講座でもそうだったように終始俯き加減でぼそぼそと喋っていた。だが、その不得要領な朴訥さが、こういう空間だと案外気にならないから不思議なものだ。ピアノに向かうと、がらっと雰囲気が変わる。昔のキース・ジャレットを思わせるような響きもあって、懐かしく魅力的だった。第一部の三曲目に演奏された『ボーダーライン』という曲は、シンプルなリフレインのうちに次第に激しさを加えていく魅力的な曲だったが、その後の第一部最後の曲が最も面白く、なんか演奏しているメンバーの姿にかっこよさが漂ってきて、少々うろたえた。いろいろに演奏趣向を凝らした難しそうな楽曲を事もなげに、遊び心で達者にこなしているかっこよさのようなものを感じた。

 かなり長いインターバルの後、再開された第二部は、ベースとドラムスの二人だけで始まり、村上和正が多彩な指使いをよく判るように見せてくれていた。彼は、常に目を閉じて、どんな楽曲でも終始淡々と演奏していて却って印象深い。ギターの澤和幸は、これまた達者なテクニックを披露してくれるのだが、自分のパートが前面に出る演奏場面になると、不思議なことに大半を客席に背を向けて弾き始める。なかなか素敵なブルースを弾いていたときなど、床に座り込んで弾いているものだからステージを組んでいないスポットだと最前列以外は客席から演奏しているところが見えなかったりする。そういった演奏の仕方にも窺えるのだが、彼の演奏はよくも悪くもマイペースだ。聴かせるためというよりも自分のため、自分の世界に向かって演奏しているようなところがある。そこがちょっとそっけないように感じられつつも妙にかっこよかったりする不思議な味だ。いろいろなところにアンテナが伸び、開いて拡散しがちな感性を感じさせる港大尋とは、好対照をなしているように感じられた。それにしても、不思議なグループだ。メンバーのバランスやアンサンブルのよさで聴かせるのではなく、それぞれがてんでに思い思いにやっているような感じを与えつつも、音楽的にバラついているような感じは与えない。気持ちで支えているのではなく、技術で支え合っているのだろうか。しかし、結果的にあれだけの技術を見せながら、聴く側の気持ちを高めてはくれなかったように思う。
 
'01. 4.13.


ヤマさんのライブ備忘録」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室