Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》YONDEN*92
vol.45
'01.12.22.
よんでん キッチン コンサート vol.92 クリスマススペシャル
デキシーキングスがやってくる
会場:ヨンデンプラザ高知
思いがけなく案内をもらって出掛けてみたら、めっぽう楽しいコンサートで大いに満足した。四国電力が企業メセナの一環として続けているイベントのようだが、高知などでは滅多に聴く機会のないデキシーランドジャズを生演奏の形で、非常に敷居の低い、くつろいだコンサートとして市民に鑑賞機会の提供をしているのは素敵なことだ。
このコンサートのお陰で、僕はデキシーキングスを率いる園田憲一氏が地元高知県の出身者であることを初めて知った。その名は、予てより知ってはいたものの、今年、須崎市の名誉市民になったことも知らずにいた。その園田憲一氏は体調すぐれず、来ていなかったけれど、七十歳台になるという兄の薗田裕司氏がチューバを担って現役のプレイヤーをやっている。それから比べると他のメンバーは若いのだけれど、そうは言っても、みんな中年以上だ。そういう年齢にある男たちが音楽を通じて、愉快で楽しく心暖まる空気を醸成してくれることが、殊の外、掛けがえのないものに思えるとともに、それによって、余計に音楽というものの素晴らしさが伝わってきたような気がする。聞き覚えのある曲ばかりということも親しみを増す大きな要因だったとは思うが、けっしてそればかりではないと思う。
演奏にしても、才気走ったフレージングやこれみよがしの技巧とは無縁の手慣れた安心感が自ずと伝わってくるなかで、筒井政明氏のトランペットの音の張りや白石幸司氏のクラリネットの音の艶が生演奏ならではの響きを届けてくれたし、ドラムの楠堂浩巳氏のサービス精神溢れるパフォーマンスや咄嗟の機転には円熟を感じた。バンジョーの永生元伸氏の声は実に優しく柔らかく、トロンボーンの中島三郎氏は薗田氏に次ぐ年齢ながら、急遽務めたピンチヒッターを余裕をもってこなしていたように見受けられた。
年季の違いを際立つ形で印象づけてくれたのは、地元のフルート奏者である安藤千織さんをフューチャリングした“星に願いを”のセッションでの演奏だった。安藤さんのフルートは何年か前に聴いたことがあるのだけれど、そのときよりも随分と音が良くなっているような気がしながらも、演奏としての柔らかさやこなれ方が白石氏のクラリネットや筒井氏のトランペットとは比べ物にならない。元来、クラシック曲の演奏家だから無理もないのだろうけど、両サイドからのサポートぶりが、いい雰囲気を作りあげていた。
最も目を引いたのは、やはり“12番街ラグ”だ。楠堂氏の独壇場とも言えるウォッシュボード(洗濯板)というパーカッションが珍しく、まさにニューヨークの雑踏を模写したような響きが楽しくて、観応えもあった。
それにしても、スタンダード・ナンバーのよさを改めてしみじみと感じた。日本の唱歌を四季一年に渡って12曲連ねたメドレーの演奏もよかったけれど、当初の予定プログラムに印刷されていた“ハロードーリィ”や“鈴かけの径”を聴きたかった気がする。とはいえ、こんなに楽しく気持ちのいいコンサートを入場無料でやってくれるのだから、すっかり病み付きになりそうだ。次回は、先日、美術館ホールでの演奏会で僕が初めて聴いたばかりのグレイグースによるアイルランド音楽だとのことで、これまた大いに楽しみだ。
「ヤマさんのライブ備忘録」の扉へ
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