Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》WAYNO EN VINO Yol.ニ

vol.73
'03. 9.21.
WAYNO 2003 JAPAN TOUR “WAYNO EN VINO Yol.ニ”
会場:高知市文化プラザーかるぽーと

 オープニング。場内の照明が落ち、暗くなったなかで、鳥のさえずりや羽ばたき、風にそよぐ木々のざわめきや川のせせらぎの音が静かに流れだしたとき、アンデスの山々を偲ばせる演出効果としての録音テープを流したのかと思った。そのくらいの絶妙さで的確に自然を捉えたパーカッションは、明るくなってみると二人いて、元々のメンバーであるシーサー・フェレイラと今回のツァーメンバーらしきレオネル・サンダースだった。楽器そのものは、「よんでんキッチンコンサート」でも見覚えのあるものだったけれど、二人いて四本の手だからこそ重ね合わせることのできる音の組み合わせというところが、うまくアンデスの情景をイメージさせてくれたのだろう。
あ、演奏だったんだ!と軽い衝撃を受けるとともに、演出効果とはいえ、そういうテープを流すはずもないと最初に想起したことの浅はかさを恥じながら、改めてアンデスの響きの見事さに感じ入ったところから一曲目の“リリマ草原”が始まった。

 これだけ大きな会場では演奏したことがないという彼らのステージは、親密感があって、いい雰囲気だったのだけれど、三曲目の“サン ファニート”あたりから早々と場内から手拍子が出始め、しかもそれが南米フォルクローレのちょっと複雑なリズムを損なうような宴会手拍子だったりしたものだから、リズム感にさほど自信のない僕など、ついついその手拍子に引っ張られる感じになって、妙に邪魔くさい気がして興醒めた気分になってしまい、残念なことをした。

 彼らは、ニューヨークを拠点に活動しているらしいのだが、メンバーには日本人(谷中秀治)もいて、ウッド・ベースとMCを担当していた。南米フォルクローレのことなどよく知らないのだけれども、ウッド・ベースというのは、よくある編成なのだろうか。ちょっと珍しいような気がした。リーダーは、ケーナとサンポーニャを担当するルイス・ビルチェレスとのことだが、首から下げて交互に自在に吹くさまが鮮やかで、特にサンポーニャの響きが、僕が今までに聴いたことのあるなかでは、格段に美しく、味があったように思う。レイデル・A・ドラードの奏でるチャランゴも硬質な響きが凛としていたし、フランシスコ・ロドリゲスのギターには温かみがあって心地好かった。総じてアップテンポな楽曲が多かった印象が残っているのだけれど、僕にとって好印象が際立った曲は、九曲目の弦楽器のみによる“君の影になりたい”だった。僕としては、南米フォルクローレらしい哀愁を誘われるような曲のほうをもっと多く聴いてみたかったように思う。

 四曲目の“こきりこ節”では、高知在住のアメリカ人尺八奏者のダニエル・リブルが、そして、次の“コンドルは飛んで行く”ほかでは、同じく高知でもケーナ教室などをやっている大目真壱が参加し、市民メンバーによる実行委員会が招いたコンサートらしい交流が窺えたが、そういう点で大いに目を惹いたのは、バックに吊されていた三枚の巨大タペストリーだった。MCの谷中によれば、これは実行委員会のメンバーたちが作ったものだそうだが、ナスカの地上絵を模した結構な出来栄えのもので、ステージの雰囲気を大いに高めていたように思う。
 妙に面白かったのが、アンコールの二曲目に演奏した“コーヒールンバ”で、再びステージに呼ばれて加わった大目真壱がなかなか聴き応えのあるケーナのソロをとった後、ルイス・ビルチェレスが何かそれに触発されたかのように、それまでのリラックス系の演奏から、ちょっとカラーを変えるようにして、気合いを入れた演奏スタイルで大目に続いたように感じられたことだった。


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