Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》コシ・ファン・トゥッテ

vol.87
'04.10.15.  
『ワセネ W.コスロフ展』オープニング・交流パーティ
会場:星ヶ岡アートヴィレッヂ

 高知市北部の住宅団地の一角にある“星ヶ岡アートヴィレッヂ”というギャラリーは、僕のお気に入りのくつろぎ空間で、今や綴らなくなった日記や読みかけの本を携えて出向いてはコーヒータイムを楽しんできたところだ。いつのまにか開館10周年になるという。記念展覧会として、これまでに何度か取り上げたこともある現代アフリカンアートのワセネ W.コスロフ展を行うに際してオープニング・交流パーティを開催するからとの案内をもらって出向いた。ギャラリー主催の交流パーティには今までにも参加したことがあるが、オーナーの平岡さんが案内に「山本様 高知が誇るジャズのトリオ(吉川英治)の演奏を予定しています。是非!!」と添え書きしてあったのに、ちょっと惹かれたのだ。

 季節もよく夜風が心地よい秋の宵、こじんまりしたギャラリーで酒食とともに絵画とジャズに浸るひとときは、ギャラリーの一角から連なる開け放したベランダの開放感も嬉しく、ちょっと気分のいいものだった。コスロフ夫妻は平岡邸にしばらく滞在しているようで、パーティの料理作りにも参加してたらしい。日本で初めての個展は95年の星ヶ岡だったとのことで、平岡氏とは長年の交友があるようだ。一昨年はニューバーガー美術館(NY)、昨年はニューアーク美術館(NJ)で展覧会が企画されるなど、現代美術作家としての評価も高まっているそうだ。

 エチオピア生まれで、創作活動の拠点をカリフォルニア州バークレーのアトリエに置いているとのコスロフ氏の作品は、洗練された色づかいのなかにエチオピアの主要言語の一つであるアムハラ語文字を取り入れているところに特長のある絵画だ。僕は文字の言葉の意味を解することができないが、絵のなかにそれを見つけていくのが楽しく、文字と意識しないでも絵柄のアクセントとして巧く配置されていて、前に観たときも心惹かれたものだった。

 バークレーのアトリエではチャリー・パーカーやセロニアス・モンク、ジョン・コルトレーンなどのジャズ奏者の音楽を流しているそうで、その音楽に創作のインスピレーションを得ながら描いているのだそうだ。そういうこともあって、今回のパーティではジャズトリオの演奏を添えたとのことだった。吉川英治トリオの演
奏は、モダンジャズではなく、交流パーティに相応しいくつろぎを促す演奏で、なんとも気分がよかった。

 高知のような地方都市でも、こういう洒落た空間が十年に渡って根づき、豊かな時間が過ごせるようになっていることが併せて嬉しい。普段のギャラリーとは違って大勢の人が集まっているので、絵画鑑賞はゆっくりとはできないものの、また違った楽しさがある。絵画鑑賞のほうは、二週間の会期があるのだから、また改めて出直すにしても、車で10分あまりの近所にあるのだから苦にもならない。帰りは、ほろ酔い気分で歩いて帰宅した。


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無断転載禁止 掲載:アーク編集室