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no Live_bibouroku》Theatre Lab
vol.108
'07. 1.30.
民音タンゴ・シリーズ“スタイリッシュ・タンゴ”
県民文化ホール・オレンジ
ちょうど折良く先頃ステファヌ・ブリゼ監督の『愛されるために、ここにいる』を観たばかりで、ちょっと楽しみにしていた公演だ。演奏以上にダンスに期待があった。
映画の好きな僕からすれば、タンゴというと少々猥雑なホールでの熱っぽく濃厚で官能的なダンスだとのイメージが強いのだが、“スタイリッシュ・タンゴ”と命名してあるだけあって、演奏にもダンスにも、情感より格調に向かう志向性が顕著で、才気と洗練を感じさせてくれるステージだった。
特段のタンゴ愛好者でもない僕が、これほどにまとまった形でタンゴの演奏とダンスを観るのは初めてだったのだが、いくつもの踊りを観て、タンゴというのは、回転と滑りと脚の跳ねを見せるダンスだと感じた。
特に目を惹いたのは、第一部では、3曲目の『ポエド』でのジセラ&ガスパルのダンスと、僕でも耳に覚えのあるコンチネンタル・タンゴ『ジェラシー』の味のある演奏に続いた『悪い仲間』でのソレダー&セルヒオのダンスだった。前者は、2003年にブエノスアイレスで始まったというタンゴダンス世界選手権の第1回チャンピオン・ペアによるもので、タンゴなのに、情感と言うよりも優雅さに溢れる踊りに魅了された。後者を踊ったのは、その第1回世界大会で審査員を務めたとの大御所ともいうべきペアのようだが、細かく複雑な脚の動きに驚かされた。
第二部は、2006年の第4回大会で初めてアルゼンチン以外の国からのチャンピオンとなったというディアナ&カルロスによるダンスで始まったが、随所にユーモラスな動きを取り入れた楽しい踊りは確かに斬新で、タンゴのイメージを新たにしてくれるのであろう才気を感じた。しかし、三組揃って踊ると、ステップの面白さや独創性ではなく、ダンス自体の見映えや巧さでは、彼らは、ジセラ&ガスパルの華麗やソレダー&セルヒオの貫禄からは少し見劣りがするようにも感じられた。ジセラ&ガスパルは『ネグラーチャ』でスケール感のある大きな踊りを見せ、ソレダー&セルヒオは『スム』で堂々たるものを感じさせてくれたように思う。演奏を担ったエリカ・ディ・サルボ楽団の今回の編成は、左からピアノ1、コントラバス1、バイオリン2、バンドネオン3という厚みのあるものだったが、女性がバンドリーダーを務めているタンゴ楽団というのは非常に珍しいようだ。楽曲の演奏では、そのリーダーたる女性バイオリニストのエリカがフューチャーされた第一部の『ジェラシー』とパトリシオ・コッテーラのコントラバスが目を惹いた『コントラバヘアンド』、タンゴらしからぬ重厚なイメージを残してくれた『アディオス・ノニーノ』が印象深かった。
それにしても、民音が、20日間の日本公演契約を副賞とする民音賞なるものをタンゴダンス世界選手権で設けているとは知らなかった。解説もリーフレットやビデオ映像によって丁寧に加えられていて、慣れない者にも親切な作りになっていた。そのせいか、ほぼ満席に近い状態だった。
「ヤマさんのライブ備忘録」の扉へ
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