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no Live_bibouroku》Theatre Lab
vol.118
'07. 7.20.
劇団33番地 第3回公演 竹林ミュージカル『Nin Nin』
(演劇祭 KOCHI 2007 観劇ラリー完走指定作品7)
五台山竹林寺本坊客殿
初めて観る劇団の公演だったので、アマチュア劇団で取り組むのは、より難儀なは
ずのミュージカルを、オリジナル劇としてどこまでやれているのだろうと、鑑賞前は
不安のほうが先立っていたのだが、思いのほかよくやっていて、ちょっと感心した。
なかでも、会場が古いお寺の本坊客殿でミュージカル的な華を添えてステージを大き
く見せることが困難ななか、その部分での健闘を果たしていたことに感心した。
何と言ってもミュージカルにおいて大事な音楽が、思いのほか気が利いていて、夢
のエピソードを展開させる際の出囃子のようなものとして繰り返される「♪ににに、
Nin、Nin、Nin♪、♪ににに、Nin、Nin、Nin♪」というコーラス
の明るい軽妙さが心地よく耳に残り、「♪あなたは自由よ♪」と歌う、チクリン(淀
屋辰之丞)の恋人(さくら)のソロが美しく、また、激しさを備えたダンスミュー
ジックもなかなかのもので、強く腕を振りながらの力強い踊りには思わぬ華があっ
て、少々驚いた。
眠りの妖精らしきものを務めていた女優たちがそれぞれにとても魅力的だったこと
が大きく作用してもいたわけだが、最もパワフルだったのは、出ずっぱりのなかで慌
ただしく衣装替えをしていたはずの淀屋辰之丞で、幾度か客席の外周から舞台裏や庭
の外まで疾走していた。身のこなしや動きに鍛錬の跡が強く窺え、言葉は「Nin、
Nin」しか発しないけれども、大いに演技力を発揮していたように思う。ダンスに
は、ほとんど参加していなかったけれども、演技力の確かさで目を惹いていたのが、
物語の進行役を担っていた竹林寺鼓を演じていたさくらで、言葉の調子を使い分けて
語る口舌の巧みさと歌の上手さが印象深い。
物語は、冒頭の観念的で抽象度の高いダンスで始まったステージからは考えられな
いようなドタバタ的なギャグを含んだ“ごった煮”に魅力のある展開だったように思
う。だが、それが植物状態にあるチクリンの遊戯めいた夢である分には、いかに臨死
というシリアスな状況ではあっても、外からは窺えない生命活動としての人間の意識
を具現させるイメージとして、人の生命力の描出という点で有効に作用するものの、
そこに小学一年生の児童虐待の悲惨までも持ち込んで来たことには、有効性より違和
感のほうを感じた。淀屋辰之丞が、子どもの暗い表情と怯えて萎縮した姿を生々しく
体現させていたから、場面印象度もとりわけ強く、確かに虐待という過酷な状況を潜
り抜けるのも生命力を描くことにはなると思うけれども、忍耐に忍耐を重ねる
「Nin、Nin」をここに持ってくることが果たして適当だったのか、少々疑問が
残った。いかに“ごった煮”とはいえ、ブーメラン・パンツやら変身キャラのコスプ
レで奮闘していたエピソードとのバランスが、いかにも悪いように感じた。
他方、エンディングでは、デリケートで微妙な問題をかなり巧く捌いていたように
思う。何年も寄り添ってくれていた恋人へのチクリンの思いが、そんな姿を見かねた
彼女の妹による、生命維持装置の電源落とし事件を契機に大きく変わったことを示し
ていたのが、チクリン自らの白衣姿での臨終への導きの場面だったように思う。現実
的には、この事件が起こったことでチクリンの妹が密かに生命維持装置停止の同意書
に家族としてサインをしたことによる安楽死だったのだろうが、死を迎える際のチク
リンの心象が自らの医師姿によって示されていたような気がする。このような意思を
明確に持って向かった死ゆえに、次に開けた世界が暗黒ではなく、明るく生命力に溢
れたビジョンとなるわけだ。美庭としても知られる竹林寺の庭の緑が一斉に明るく照
らし出される演出が効果的で、とても目を惹いた。
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