Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》Theatre Lab


vol.127

'07.12.23/24. 
第32回四国地区高等学校演劇研究大会
高知県立美術館ホール

 四国四県から選抜された9校の参加を得て開催されたもので、全国大会の四国ブロック予選にも
なっている大会だそうだ。関係者から誘われ、所用の合間を縫って9校中4校の舞台を観てきた。
連日の寝不足で少々感度の落ちているなかで観たのだけれども、なかなか面白かった。パンフを観
て驚いたのは、香川県の会長をやっている小豆島高校の校長先生が、大学時分に同じ文芸サークル
にいた先輩だったことだ。香川で先生をやっているのは知っていたが、演劇のほうでの活躍ぶりを
知ることができてよかった。

 一日目に観ることができたのは、高知の高岡高校の『授業』(ウージェーヌ・イヨネスコ/作)の
みだったが、高岡高校演劇部の公演としては、昨年観た『にんじん』(http://www.arts-calend
ar.co.jp/YAMAsan/06/04-29.html)のほうが出来がよかったように思うけれど、女中マリーを
演じた1年生の横川佳奈さんがちょっと魅力的だった。公演で“美しい国、テロとの戦い”とされて
いた台詞は、オリジナルでは、どういう言葉になっていたのだろう。僕は、初めて観る芝居だったが、
高校演劇ではよく知られた作品のようだ。パンフ巻末の記録によれば、昭和47年に玉野高校、昭和
56年に高松南高校がやっている。

 今日観たのは、愛媛の川之江高校の『犬山さんと猫田さん』(越智優/作)、徳島の富岡西高校の
『十七音』(顧問創作)、高知の春野高校の『駆け込み訴え』(太宰治/作)の三本。
 『犬山さんと猫田さん』は、これといった取り得もなく、将来に向かっての目標も持てないで、自
分を犬猫のようにちっぽけな存在だと思っている二人の女子高生のプチ家出をコミカルに描いた作品
だったが、犬猫を名前にすると、どうして犬山と猫田になって犬田・猫山とはならないのだろうなど
とたわいもないことを思いながら観ていたのだけれど、等身大の女子高生の姿が、先頃映画で観たば
かりの『あしたの私のつくり方』を思わせるような息づきで演じられていて、充分以上に楽しめた。
台詞がよく入っていて間合いも見事で、言葉に表情が宿っていて大したものだった。

 『十七音』は顧問の創作劇だったが、今年の夏には部員ゼロにまでなっていたとの状態から勝ち上
がってきた勢いが舞台に宿って、若々しい清廉な魅力を放っていたように思う。昨今の高校演劇には
珍しく、二人の男の子がメインになった芝居だったことも新鮮だったし、この芝居とちょうど同じよ
うに高校時分に生徒会活動に携わり、文芸部にも入っていた僕には何とも懐かしくノスタルジックな
気分を誘われる好舞台だった。

 『駆け込み訴え』には、まさか高校演劇で一人芝居を打ってくるとは思っていなかったので、かな
り意表を突かれたのだが、イスカリオテのユダを演じた2年生の山田憲人くんの堂々たる演技に感心
させられた。台詞のテンションにしても、泣きや笑いの大きな所作にしても、本当によくやっていた
し、表情の変化にも配慮が行き届いていたように思う。最後の、イエスを訴え出た報奨金の三十銀を
一旦断りながらも翻して貰うことにする場面は一番大事なところなので、もう少しニュアンス豊かに
演じられるか、いっそ逆に、演出側で大胆に明確な色付けをして演じさせるかしていれば、もっとイ
ンパクトのある芝居になったような気がしたが、シンプルななかにも照明や音響の使い方に工夫がさ
れていて、充分以上に観応えがあった。


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