Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》11.26


vol.149

'09.11.26

劇団文学座公演『ゆれる車の音』(高知市民劇場第281回例会)
県民文化ホール・オレンジ

 作者の中島淳彦は、元々九州生まれなのだろうか。それとも気丈で情の濃い女性が好きで九州女を取り上げていたのだろうか。年六回しかない例会で1月の『見下ろしてごらん、夜の町を。』と併せ、二作も上演されたわけだが、どちらも“男”の面子に囚われながらも恐妻家丸出しの姑息なお人よし人物が主人公で、強くて気風のよさそうな女性を妻帯していた。『見下ろしてごらん、夜の町を。』を観たときは、劇団を主宰する佐藤B作・あめくみちこ夫妻に当て書きしたような夫婦関係だと思ったが、公演劇団も役者も違いながら重なってくる部分は、やはり作者の趣味なのだろう。でも、本作で印象深かったのは、夫のテキ屋の金丸重蔵(角野卓造)よりも妻の敏子(塩田朋子)であり、十数年前に金丸一家を追い出して所場を奪った元愚連隊の丈太郎(たかお鷹)のほうだったように思う。

 なかなかの見物だったのは、舞台装置の上方から思いの外のスピードで滑走してくる自転車で、走行中の揺れを回り舞台の上で見せてくれた自動車と共に、専ら乗り物のほうだったような印象が残っている。この筋立てからすれば、本来は、テキ屋の口上を披露する場面が一番の見せ場になっているべきで、そこのところでもっと惹き付けてもらいたかったのだが、むしろ余芸ふうに出てきたGS場面のほうがインパクトがあって、肝心の口上場面に少々見劣りがしたのが残念だった。
 グループサウンズというのも、今の目からすると随分と野暮ったくて、そのスマートでないところに味があって、もう少しすれば、テキ屋の口上のような“昔の風俗文化”になるのかもしれないなとふと思った。


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