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'09.7. 1.& 4.
人形劇団プーク公演『金壷親父恋達引』『カチカチ山』(高知市民劇場第279回例会)
高知市文化プラザかるぽーと大ホール
7月1日にマリオネットコンサートとのカップリングのAプロを観て、7月4日にBプロの『カチカチ山』を観た。
六年前に朗読物語『親子杉』を鑑賞した際に聴いたことのあるアコースティックユニット「マリオネット」の湯淺隆と吉田剛士によるポルトガルギターとマンドリンの演奏は、当時の備忘録に「朗読を休ませて演奏を聴かせる部分がもっとあっても良かったのではないかと思う。」と書いていたくらい魅力的な音色を奏でていたので、楽しみにしていたが、約1時間8曲のミニプログラムながら、MCも楽しく、演奏に充実感があったように思う。最初の2曲がポルトガルの民族音楽ファドからのスタンダード曲だとの紹介があったが、非常に強い金属性のなかにアコースティックな温かみを感じさせてくれるポルトガルギターの響きに魅せられた。残りの6曲のうち、映画音楽からの『日曜はダメよ』と昭和歌謡『黄昏のビギン』の他はオリジナル曲だったと思う。オリジナル曲で最も気に入ったのは、吉田剛士のマンドリュートと合奏した『唐街雨情』だったが、最も魅せられた演奏は、湯淺隆のギターと吉田剛士のマンドリンによる『日曜はダメよ』だった。湯淺隆のギターの右手の指さばきと動きの美しさが抜群で、奏法に豊かなバリエーションがあって見事な響きだったように思った。
人形劇のほうは、井上ひさしと太宰治という稀代のレトリックの達人とも言うべき人気作家の作によるものだが、『カチカチ山』は人形劇であることの必然性を感じさせてくれる意匠に乏しかったように思う。それに比べて『金壷親父恋達引』は、人形の動かし方や人の芝居と人形の動きによる感情表現の豊かさに圧倒的な観応えがあって、比較にならない見栄えを感じさせてくれたように思う。南京玉すだれを柳の枝にして残して物語を始める動作の展開部分から終始目を楽しませてくれたが、モリエールの『守銭奴』を江戸物語に脚色した話の最後の顛末が、分限者たる京屋徳右衛門の登場とその血縁ということでの解決によって済まされてしまったことには、少々拍子抜けを感じた。とはいえ、井上ひさしの繰り出す言葉の調子のよさと豊かさには、いつもながら感心させられる。
狸殺害の陰惨な事件として刑事を登場させた趣向の『カチカチ山』のほうが、物語的にも脚色的にも、より気が利いていたはずなのだが、見せる芝居としての面白さは、それだけで決まるものではないことがよく分かる気がした。加えて、先ごろ地元劇団の公演で観たばかりの『カチカチ山』が、少女たる兎の残酷さと恐さがきちんと表現されるに留まらず、少女が嫌うのも無理からぬ中年男の気色悪い狸ぶりがきちんと演じられていて、決して愚鈍な善良さとして表現されていない観応えに感心したばかりだったことも、マイナス条件として作用したかもしれない。
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