Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》9.15


vol.160

'10.11.21.

シャカ力旗揚げ公演『愛ヲ噴射スル』
喫茶メフィストフェレス3Fホール

 この夏、「ゲキダン泪目」として『OH!!父さん』を公演していた行正忠義・井上たくみ・丸山良太が、畠中昌子・阿野田由紀の二人の女優を得て、しゃかりきに芝居に取り組むことにしたということなのだろうか、「シャカ力」を立ち上げたとのこと。
 演劇祭 KOCHI 2010 で観た鍋島恵那や中山遥、そして「劇団OOK」の永野良一の客演を得て、「アテンションプリーズ、アテンションプリーズ」と連呼する女声と男声の掛け合いで始まるオープニングから「愛のレスキュー」に至る前半は、何とも馬鹿馬鹿しいような妙な可笑しみがパワフルな台詞回しと身体表現のなかに宿っていて、なかなか調子が良くて、大いに楽しんだ。身のこなしと言葉がしっかりしているのが好もしい。
 特にポッキーチョコをネタに遊んでいた「愛のお菓子殺人事件」と、20歳年下の青年に迫られるアラフォー女性と職場のデキる上司の鷲の眼差しに射すくめられ不倫に陥りそうな予感に怯むOLが駆け込んだ寺で、坊主に“あ”“い”と胸に筆書きされる「愛のレスキュー」が、面白かった。
 でも、続く「うまく」あたりから言葉の遊びが理に寄りかかったり、役者のアンサンブルが単調になってき始め、次第に精彩を欠いて行ったような気がする。「お稽古」を観ていて強く感じたことだが、女優陣がユニットで登場してくることで得られていた“風通し”が失われて男優ばかりの濃い目の芝居をされると、その演じているネタの質も手伝って随分と息苦しくなってくるようだ。エンディング前の「あいあい」にはそのことが最も強く表れていたような気がする。
 それが、劇団代表であり作者でもある行正忠義の作品の個性でもあるわけだが、それゆえにこそ「ゲキダン泪目」が女優陣を得て「シャカ力」になったことで開かれた可能性と魅力が、前半部に結集されていたように思う。そういう点では客演の成果も非常に顕著だったように思う。


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