|
'11.12.25.
『坂田明 + ジム・オルーク ライヴ』
会場:アートゾーン藁工倉庫・蛸蔵
アートゾーン藁工倉庫(http://warakoh.com/)のオープニングイベントのひとつとして企画されたライブ・ステージ(http://warakoh.com/?p=496)を観て、予め抱いていた「坂田明って、まだやってたのか」との思いが驚きに変わった。そのアグレッシヴな演奏に衰えが感じられなかったからだ。格別ファンだったわけでもない自分が見知っているくらいだから、その名高さは相当なものだということになるが、意外と歳は食ってなくて、まだ六十代だということのほうに驚いた。それなら、見た目から受ける感じと大きな開きはないような気がする。むしろ、共演していたジム・オルークのほうが、断然若いはずなのに見た目はジムが年上に映るくらい老けていたように思う。だが、演奏スタイルは両者ともフリー感が漲っていて若々しい。それなのに、どこか落ち着いているようにも感じられる少々不思議な塩梅がなかなかの妙味だったような気がする。ジム・オルークのギター奏法も自由奔放で、大いに目を惹いた。
僕が気に入ったのは、平家物語を坂田明が唸っていた後半での演奏とその後の「リトル・ドラマー・ボーイ」のフレーズの出てくる演奏だった。そう言えば、クリスマス当日のライブだったんだなどと思ったが、客席のなかはクリスマス気分が些かも感じられない装いと空気であることが際立ってきて、そのことが妙に可笑しくて、僕のなかで笑いが込み上げてきた。
平家物語は、冒頭の部分だけをなぞるのかと思っていたら、けっこう延々と言葉を継いでいたので、少々意表を突かれたけれども、無常を唸ってカッコよく映る貫録があるのは流石だと思った。それが本来の平家物語の節回しと比較してどうなのかを味わう素養を持ち合わせていないことが残念だったが、琵琶法師ならぬギター法師との合作による坂田版平家物語の響きのうら哀しさには、垣間見せる凄む声調が効果的に作用していたような気がする。僕が琵琶の奏法というものを知っていたら、また味わいが違ったのかもしれないが、ジム・オルークのほうには余り琵琶を意識しているような感じは窺えなかったように思う。
100席くらいしか用意されていない会場は満席で、古くからのファンも駆けつけていたようだ。やけに寒い夜だったが、こじんまりしたスポットらしい熱気が空間に籠っていて、何だかスペシャル感が醸成されていたような気がする。アートゾーン藁工倉庫それ自体がそういうスペシャル感を醸し出せる場になって、日常からの逸脱のひとときを演出できる空間になればいいなと思った。そういう意味で、アートゾーン藁工倉庫のオープニングイベントにふさわしいライヴ公演だったと言えるのかもしれない。
|