Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》9.15.


vol.172

'11. 9.15.

こまつ座公演 『父と暮せば』(高知市民劇場第292回例会)
会場:県民文化ホール・オレンジ

 十五年近く前の第207回例会で観た すまけい・梅沢昌代も、七年前に観た映画版の原田芳雄・宮沢りえも、今回の辻萬長・栗田桃子も、どれも良かったのだから、やはり先ごろ亡くなったばかりの井上ひさしの台本自体が圧倒的な力を持っているということに他ならない。
 先に観た舞台版で強く刻まれた戦争レクイエム的な色彩が、映画版を観たときには父娘の情愛のほうに重きが置かれているように感じられたが、同じこまつ座公演での鵜山演出にもかかわらず、今回の舞台では、父娘の情愛のほうが強く印象づけられたような気がした。
 演出を変えてきているのか、僕が映画版を観た後だからなのか、あるいは自分の娘の結婚披露宴を三日後の日曜日に控えているからなのか、その理由は定かではないが、最後に美津江から「おとったん、しばらく会えなくなるからね」との声を聞いてハッとしたような顔を見せた後、実に満足そうな安心したような表情を見せたときの竹造が何ともたまらなかった。それまでの何とかして娘の気持ちを前向きに持っていこうとしているときの懸命さやもどかしさ、切なさが沁み渡ってきていたからだろう。何度観ても心打たれる名作だとつくづく思った。


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