Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》PARI-8

vol.13
'98. 1.22.
パリ シャンゼリゼ管楽合奏団「オリジナル楽器で甦る18・19世紀の音楽」
会場:高知県立美術館ホール

 朝日新聞の記事を見て余った年賀葉書で応募したら、招待に預かることができた。管楽のみの合奏ということで、あまり大きな期待は抱いていなかったのだが、なかなか素敵な演奏だった。メンバー九人のなかの唯一の日本人で、進行役も務める北里隆浩氏が言っていた「日本で一番音のいいホールだ」というのはお世辞だとしても、オーボエ二本、クラリネット二本、ホルン二本、バスーン二本にコントラバスーンを加えた管楽八重奏団が、美術館ホールの特性に非常に適した編成であったことは確かだ。

 オープニングの歌劇“セヴィリアの理髪師”序曲と二曲目のハイドン作曲交響曲第92番“オックスフォード”より第2・4楽章を聴いた時点で、古いオリジナルの木管楽器が木管特有の柔らかさのなかに、イメージとして馴染みのあるもわっとした響きとは異なる、やけに明るい抜けの良さがスカッとした爽やかな響きを湛えつつ、弦の響きの重なる厚みや深みとは異なった音の膨らみを響かせていて期待を持たせてくれたし、唯一の金管ホルンがこれまたイメージとして馴染みのある音色の単調さを覆すいろいろな響きを奏でていて、新鮮な驚きをもたらしてくれていた。
 三曲目は、ベートーヴェン作曲八重奏曲変ホ長調作品103 。第1楽章では、クラリネットからバスーン、ホルン、オーボエへと交わされる音のキャッチボールが楽しく、第2楽章では合奏の響きの厚みと膨らみを堪能した。第3楽章では、リード楽器と低音楽器の対照が面白く、第4楽章では、リード楽器の魅力が印象深かった。

 休憩をはさんだ四曲目は、ベートーヴェン作曲ロンディーノ変ホ長調で、ホルンの魅力が際立っていた。そしたら演奏後、進行役の北里氏がホルンについての説明を始め、いろいろな響きを出す奏法の種明かしについて演奏者に実演を求めるなどサービス精神に満ちていた。プログラムの最終曲は、モーツァルト作曲セレナーデ(小夜曲)ハ短調K388 。個別の楽器や楽章の印象に心奪われる余裕もなく、音楽そのものに聴き惚れていた。いかにも宮廷音楽らしい楽天さと華やかさを楽しんでいる自分に幾分恥ずかしさと後ろめたさを覚えながらも、やっぱりモーツァルトはいいなぁと思ったりもした。アンコール曲は、リラックスした雰囲気のなかで“雪の降る町を”だったように思う。折しも、高知の街も異常気象と言われる暖冬のなかでさすがに寒気を強めていて、この三日後には、初雪を迎えた。
 特に強い感銘や深い感動をもたらしてくれるような類のコンサートではないけれども、気分のいいひとときを味わった。招待券で行っておいて言うのも厚かましい話だが、こういうひとときが六千円も払わないで気楽に楽しめるようになるといいなとつくづく思う。      


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