|
【コラム】
今年は梅の咲き初めがいつもよりひとつきほど早いでしょうか。庭に梅の木があった頃、この白梅はちょうど桃の節句に満開を迎えました。お雛様の隣には、桃ではなくて白梅が飾られて、私の雛祭りの記憶は梅の香りとともにあります。
我が家だけでなく、ひな人形と一緒に飾るのは、紅梅白梅の家が多かったような気がします。桃の木はお隣の庭にありました。私の記憶では、梅の後、桜と同じころに咲いていたと思いますが、花が咲き始めてから割とすぐに大きな葉が茂り出し、花の姿より野生的な生命力の強さを感じて、女の子の節句の花という印象は薄いのです。
うちの庭の梅は、盆栽のような枝振りのまま大きくなったなかなか見事なもので、梅干し・梅酒に最適な大きな実をたくさんつけることもあって、ご近所で評判のいいものでした。そして、庭から続くような小さな公園には、そこを取り囲むようにソメイヨシノの大木が連なって、お隣の桃は、かなりな大木で、そのせいか大味な雰囲気で近所の人からもあまり愛でられないちょっと可哀想な感じもありました。
梅の木は、枝を横に伸ばし、次に上に向かって伸びて行きます。人がガッツポーズをするような感じです。桜は横へ横へと枝を伸ばしてこんもりふんわりと花を咲かせます。桃はただまっすぐ上に伸び、横に広がることなく花束のようなかたちのままで、花と葉をたっぷりとつけていました。
思えば、私は桃の花というと、実物はお隣の木しか知りません。もう少ししたら、ニュースなどで、桃が満開でなどと見ることもあるでしょう。毎年きっと、それを見ていると思います。でも、どんな花・枝だったのか、思い浮かぶのはお隣の桃だけ。
お隣は、近所付き合いをほとんどしない家でした。庭には、桃だけでなく大きな木が何本も植えられていました。そういえば、桃と並んで栗の木が(うちには柿!)。その栗は、枝がうちの庭にも伸びていて、地味な(ネコジャラシを細ーくした薄黄色の)花は、房ごとうちに散ってきます。それは梅雨時だったかなぁ、濡れた毛虫みたいであんまり歓迎したくない花。掃除しても掃除しても散ってきます。でも、秋が深まり栗が実ると、めったに挨拶もしないお隣のおじさんは火ばさみを手に黙ってうちの庭から落ちた栗を拾って行くのです。(2007.2.16
WADA)
|