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小学生の頃からだから、もうン十年、気になっている人名があります。
「有名人」なので、GoogleやYahoo!に入力してみれば、たちどころに何者か、わかるはずです。
きっとwikiと付け足せば、世界中の人がこの人物について、解説していることでしょう。
小学生の私には、一番手っ取り早いある手段以外にその人を知る術はなかったと思うのだけど、インターネットで検索ができるようになった時、実は調べてみようかと思わないでもなかったのです。
時折、その名前を思い出しながら、また何年も重ねています。
小学校の図書室は、3つの部屋からできていて、いちばん広い部屋に図鑑や絵本、ルパン全集、ずっこけ三人組、はれときどきぶたなどの童話や児童小説。
ごく普通に、放課後に読みに行く、借りに行く本がおいてありました。
中くらいの部屋は、難しい全集、百科事典、美術全集など、基本的に貸し出しはせずに図書室の中で読むもの。
小さい部屋は司書の先生の事務室となっていましたが、生徒の立ち入りは禁止。
図書室に行っていいのは3年生から。1,2年生は学級文庫の本を休み時間に読むだけでした。
3年生になると、国語の授業で図書室に行き、貸し出しカードの書き方と借り方・返し方、図書室での約束事を習います。
すでに市の図書館に入り浸って、児童小説をものすごい早さで読破していた私には、小学校の図書室など取るに足らないものでしたが、並んでいるのは全部読んでいい本というのは嬉しいものでした。
(お姫様ものと思って「椿姫」を借りてきて、「お母さん、これなんて読むの?」と"高級娼婦"を指差して以来、次に借りる本は事前にお伺いを立てなければならなかったのです。)
中くらいの部屋は、いまでもはっきりと覚えていますが、新品のまま熟成されていく本の、少し湿ったような紙とインクの、本好きには甘美な匂いに満ちていました。
学校のなかのどの部屋よりも、静かだったかもしれません。
授業で必要になったときに、1冊の本を目指して大挙して押し寄せるくらいしか、その部屋に入る生徒はなく、どの本も手垢などついていませんでした。
その部屋の本は基本的に貸し出しはしませんが、唯一、伝記のシリーズだけは貸し出してもらえました。
と言っても、波乱万丈・紆余曲折があったとしても、最後は必ず「成功」や「栄誉」「賞賛」と結末がわかっている伝記はなんだか面白くなく、宿題が出たとき以外に読もうとも思いませんでした。
全部で何冊のシリーズだったのかはよく覚えていませんが、背表紙に書かれた未知の偉人は、年齢とともに知った名前になっていきました。
伝記を読むことはなくても、カードをめくっていくように「未」から「既」にかわっていきました。
その背表紙のなかで、いまだに「既」にならない名前があります。
子供心に、なんだか楽しげな音感で気になっていた名前。
気になったのなら、そのときに伝記を読めばよかったのです。
伝記は嫌い、なんて言ってるから大人になっても知らないままなのです。
知らなかったから、こうしてネタにできたとも言えますが。
この文章を書くにも、実は迷いました。
ここまで無知をさらしていいものか。
いちおう、調べてみるべきではないのか。
10回ほどキーボードを叩くだけの手間を惜しむのか?
赤っ恥をかくか、ほぉら誰もしらない、どちらに転ぶか。
小学生向けの伝記シリーズになっているなら、大人になれば誰もが知ってる有名人ではないのですか?
エジソンや野口英世やリンカーンと同じくらい有名な人ではないのですか?
私はいままで、伝記の背表紙以外にあなたの名前を見た記憶はありません。
何者ですか?ペスタロッチさん。
(2009/8/17 WADA)
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