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「椿の香」
子ども時代、初代若乃花の二子山部屋が近所にあり、若貴が走り回っていた。若い力士が巨体を自転車に乗せて走る姿はコミカルだった。部屋前を通ると激しい稽古の声。現在、サッカー日本代表の活躍に対して、対照的なのが大相撲。次々と起こる事件はとても残念だ。
力士が野球賭博で暴力団と関わることは、何が問題なのだろうか。それが相撲賭博、さらに八百長にもつながるから、特に問題なのではないか。これまで野球賭博、相撲賭博で八百長が報道されてきた。1969から70年の野球の「黒い霧事件」は有名である。相撲でも八百長試合の報道は数多い。黒い霧事件がオートレースの八百長ともつながったように、賭博と八百長は連鎖する。賭博で恐喝された力士には八百長の可能性も出てくるだろう。非合法賭博は八百長を産み、野球賭博は相撲賭博と八百長につながるのだ。
今回の特別調査委員会報告は厳しい処分を勧告したとする。だが、野球賭博が暴力団とつながっていることを力士は知らなかったという。胴元を知らず想像せずに何十万も金を賭けるものか。この報告では委員会も御用集団と見える。座長と理事長代行となった2人は、力士暴行死事件がきっかけで2年前に入った相撲協会の非常勤理事であり、すでに純粋な外部とはいえない。調査委員会を公募し厳しい追及を行うべきだ。日本相撲協会は財団法人だが、この2人と監事を除いてはすべて角界OB。公益法人としての社会的性格上、1/4は外部登用して再編成すべきではないか。現在、元力士など個人の責任として終息させようという意図がありありと見える。
子ども時代、鬢付け油の匂いは、力士とすれ違った際や電話ボックスに、独特の甘さで漂っていた。いまも相撲取りを見かけると、あの香りが蘇る。マスコミも一時の話題ではなく、相撲賭博と八百長も視野に入れた根本的な追及を行い、暴力団との関係を断ち切り、角界の輝きを取り戻してほしい。
(2010/6/28 志賀信夫)
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